失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
さよならの後に、
あれから五年が経った。
その間にあたしは色んなことを経験した。
会社の経営学、英語、文化。
数えきれない経験を積んだ。
五年間の間に春が短期留学してきたり、武が遊びに来たり。
あたしが日本に行くことは数え切れるほどだったけど、なんだかんだで武たちとも家族ともうまくやっていた。
そして今年、大学を首席で卒業した亜美は、ようやく懐かしの日本に帰ってきた。
「おかえりなさいませ」
「ただいま、佐伯さん」
空港に迎えに来てくれていたのは、5年前よりスーツが似合うようになっていた佐伯さん。
「お綺麗になられましたね」
「お世辞?」
「はい」
まじか。
「……」
「冗談です。亜美さんは本当にお綺麗になられた」
穏やかな笑顔から、それが本心だとわかる。
「――ありがとう」
あまり荷物の入っていないスーツケースを佐伯さんに預けて、あたしは佐伯さんが乗ってきた車へ向かって歩きだした。