失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



何かを我慢するように、武はクスクスと笑う。


意味が分からなくてあたしは首を傾げた。


「明日、朝の九時に駅前にある公園に集合」


「は?何で?」


「お前に見せたいもんがあるんだよ」


見せたいもの?


それが何かは多分教えてくれないだろう。


だって意地悪そうな顔してるんだもん。


「オッケー?」


「別にいいけど、明日じゃなきゃダメ?」


明日はみんなを影からそっと覗く日なんだけど。


……あ、ストーカーみたい。


「それ見たら、会う勇気がみなぎるよ。ってか多分会いたくなると思う」


いったいどんなものなんだよ。


気になって眠れナッシング。


「すぐ終わるから。終わったら行きたいとこまで送ってってやる」


「うん、ありがとう」


わからないことだらけで、質問しようとした時、タイミングよく佐伯さんが入ってきた。


「亜美さん、そろそろ」


「……、」


武の顔を見れば真剣な顔をしていた。


「……帰ろうか、佐伯さん」


結局あたしは何も聞けないまま、意味不明な約束を取り付けられ、金井家を出た。


―――――――さよならの後に、
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