失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



あたしは不思議に思いながらもその箱を受け取り、開けてもいいのかと尋ねるように佐伯さんの顔を見た。


佐伯さんは一つ頷いた。


あたしは手の中の箱の包装を丁寧に開けた。


佐伯さんのことだ。


開けたらなんかへび的な何かが出てくるようなびっくり箱の可能性がある。


しかし佐伯さんがくれた箱はあたしの考えを考えすぎで終わらせてくれた。


「……うそっ!」


中には黒と薄いピンクのストライプ模様の大きめのポーチとオレンジの花のコサージュが入っていた。


そして佐伯さんはあたしの手から2つを取り、ポーチにコサージュをつけて返してくれた。


「可愛い……」


「ポーチだけにする予定だったんですが、見かけたコサージュがそのポーチに合いそうだったので……」


「1人で買いに行ったの?」


「はい」


これをどんな店に買いに行ったのかは知らないが、1人で買いに行き、悩んでいる姿を想像したら笑えた。


でもすごく嬉しい。


佐伯さんがあたしのためにあたしに似合いそうな物を選んでくれたことが。


あたしは今まで使っていたポーチから化粧品を取り出して入れ替えた。



< 470 / 509 >

この作品をシェア

pagetop