失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
ほかにあたしにどう対応しろというのか!
「……五名様デスネ」
「ソ、ソウデスネ……」
バカが二人。
大雅が頭を抱えているのが、大翔が笑いを堪えているのが、優真君が優しく見守っているのが、颯太が苦笑いしているのが、視界の端に見えた。
「陽、今日仕事何時に終わる?」
「好きな時に」
「そ、そうか……」
大雅はいつの間にかしっかりしたんだね。
ってか陽は好きな時に仕事終われるんだね。
「ちょっと待ってろ」
陽はあたしたちの注文を聞かずにその場を去っていってしまった。
しばらくして戻ってきた陽は、着替えていて、手には大きな箱を持っていた。
「……出よう」
陽はあたしのことをチラリとも見ずに先頭をきって店を出ていった。
みんなはまるで、予想通りとでもいうように、当然のように陽の後を追って店を出ていこうとする。
ケーキ、まだ食べてないよ。
でも、大雅が睨んでいるのであたしは店を出ることにした。
「ありがとうございましたー」
という、かわいらしい店員さんの声が聞こえてきたが、ごめんなさい、何も食べてないです。