失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



「……」


何とも言えない沈黙を痛く感じているのは多分この中であたしだけだ。


だってみんなは楽しそうに会話しているしね。


「……」


この沈黙をどうしてくれようか。


「どこ行くんだよ」


「家」


「誰の?」


「亜美の」


「うちかーい!」


ついつい突っ込んでしまった。


「一番広いだろ」


そうだけどさ。


それとこれとは違う話だったりするだろ。


「まぁ、いいけど……」


多分今から方向転換する気も無いと思うし。


「んじゃ、深瀬家レッツゴー」

大雅だけが楽しそうだ。


「えー、俺、行かなきゃダメ?」


大翔にうちは確かに疲れる場所かもね。


「全員」


「……はい」


陽がみんなのリーダーなのはかわらない。





そのままあたしたちは、深瀬家に向かって歩きだした。


途中で陽が立ちどまり、道が分からなかったことが判明して、結局先頭を歩いたのは、亜美だった。


「……なんで勢いよく歩きだしたんだ?あいつは」


「いつものことだろ」


大雅に言われて、あたしはそれもそうか、と納得してしまった。









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