失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
あたしの家には人がほとんどいなかった。
父さん、瑠伊、佐伯さん。
この三人がいなければほとんど人はいないに近い状態になる。
「お茶、いる?」
まぁ、出すのはあたしじゃないけど。
「いらねぇ」
陽の言葉に大雅が哀しそうな目をする。
うちで出てくるお茶は普通の日本茶だから期待しても無駄だけど、それは言わないでおこうか。
勘違いしてるみたいだし。
いや、うちでも紅茶が出てくる時もあるさ。稀に。
家事をしてくれている、青木さんの調子がよかったらな。
「なんでうちなんですか?」
ずっと聞きたかったことを、みんながソファーにきちんと座ってからようやく聞けた。
「一番広いから」
それはさっきも聞いた。
でもあたしは知ってる。
あの辺から一番家が近いのは大雅だってことを。
あたしの家に来るより、大雅とか颯太の家の方が近いってこと。