失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
こいつには何を言っても無駄だろう。
なにせ、アホだから。
思い返せばしっかりしているところもあるのだが……
一番始めは“俺らが忘れさせてやる”と言った。
あたしのことをしっても態度を変えなかった。
なんとなくこいつが一番偉い訳が分かる気がする。
機敏に動くところなんか想像つかないけどね。
ってかこいつはヤンキーの親玉として、シュークリームばかり食べててもいいのだろうか?
心配になってきた。
「陽」
「あ?」
優真君に出してもらったシュークリームをほおばりながら返事をする。
幸せそうだな、おい。
「ちょっと腕、触らして」
「は?」
言うより早くあたしは陽のシュークリームを掴んでいる腕、の肩の近くを触ってみた。
特に抵抗はしないものの、不思議な顔をこちらに向ける。