失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



亜美は持ってきていた雑誌から目を離して考えてみた。



――旅行かぁ



しばらくいってない気がする。

というのも父親がまず忙しい。


亜美自身も、父の仕事の手伝いでいろんな場所に行っている。


あらためて旅行なんて考えた事なかった。



「毎年どっか行ってる口調だね」



そう言えばいつもはうるさくて、あたしを怒らすことしかしないような大雅が元気よく答えてくれた。



「おうっ!」



――本当に楽しみなんだなぁ



いつもは見れない極上スマイル。


あらためてこいつがイケメンなのを忘れていた。



「どっか行くの?」


「海だ!」


思い浮かぶ。


ナンパするし、されるこいつらが。


思わず苦笑いをしてしまった。



「ふぅーん、いってらっしゃい」


そう言って雑誌に目を戻せば、はしゃいでいた声がとまった。


「てめぇ、何言ってんだよ。ふざけるのも大概にしとけよ。馬鹿やろー」



あたし、馬鹿にされすぎてないか?



「お前も行くんだよ」









ちょっと待て。


あたしは聞いてないぞ。


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