秘密の関係
どっちから誘ったのか、どっちからはじめたのか、よくわからないまま、あたしたちはだらだらと関係を続けてる。

出逢ったのはクラブのバーカウンター。
あたしは一緒に行ってた友達のテンションについてけなくて、カウンターのスツールでぼんやりしてた。
趣味じゃない音楽がかかって、ヘタクソなDJが叫び出す。友達はナンパしてきた男と、トイレに消えていった。
疲れた…。あたしはバーテンダーにカシスオレンジを注文して、深いため息をついた。
「すっげえため息。」
ムスクの香りと一緒に、隣からそんな声がした。

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