秘密の関係
少しびっくりしてふりむくと、面白そうにあたしの顔をのぞきこんでる、男の人が立っていた。
「ひとりできたの?すげー退屈そうだけど。」
「あ…ううん、友達ときたんだけど、おいてかれちゃった。」
スツールに浅く腰掛けて、うなずきながらグラスをかたむけるその人は、すっごくすっごく、かっこよかった。
少し長めの髪、切れ長の目、そして低めのかすれた声。スツールに腰掛けてるのが窮屈そうなくらい、背が高い。
なんていうか、すごくセクシーだった。
あたしのまわりにはいない感じの男の人。
初めて逢ったばっかりなのに、ろくろく話もしていないのに、あたし、隣にいるだけの彼に、すっごく惹かれてたんだ…。

「名前。」
いきなり。
ぼーっとしてたあたしの耳元で、低めのかすれた声がささやいた。
「ひゃ…っ!」
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