プリズム
「聞きたくないよー」
机に顔を預けてわざとらしく伏せる。その状態のあたしを見てか、また柔らかい声が耳元で響く。
「なんか奢ってやろうかなー」
「マジでか!」
「なんだその反射神経。やるか?」
フッ、と大人っぽく笑う流星に胸が少しだけキュンとした…のは気のせいだ。頬杖がそう見せるだけだ。
「やります!!」
「ゲンキンな奴」
ポンと頭を軽く叩かれた。彼の手は少しも人並みより冷たかった。
「………」
(流星が頭ポンポンしてもわざとらしくないんだよね)
「そこがタチ悪い」と小さく呟いた。