プリズム


ぐいっと引かれた右手の行方。

流星の腰にわたしの腕を回す体制になる。

「こうしてろ。落ちる」


頬が熱くなるのを感じながら、でも正直言って嬉しいんだ。

「うん……」


「莉桜天文部だったのか」

「廃部になったけどね」

「まぁ似合いそうだけど」


本当は、心の中でわかってはいるんだ。


「飛ばすぞ」

「あ、安全運転で」

普段の君からは想像できない

たまに好きなことになると無鉄砲な君のそんなところ



…好きだったりする。


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