プリズム


ひたすらにペダルを漕ぐ流星の心臓の音、背中の広さ、鼓動や熱……

それらを感じながら。


キキッ――


止まったのは丘の上にある小さな倉庫の真下。


流星はためらいもせずにその倉庫に近づき、フェンスに手をかけて屋根に跳び移った。


「よし。莉桜」

「のぼるの?」

「この上が綺麗なんだろうが」


手を引かれてわたしもそのまま屋根へ。


そして宙を眺めた刹那――…

「……ッ」



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