プリズム


流星が放った言葉。


お見舞い――ヒイラギツボミ。


「行くか?」


看護師さんに伝えたあとに彼はわたしの方を向いた。

わたしはというと目を会わせられなくて直視できなくて、戸惑う。


「流星……」

だれ?

なんでお見舞い?


たくさんのことが頭を回るけど唇からは出てこない。動かない。


エレベーターに乗り込み、押されて光るF7の番号。


白い世界はひどく静かだった。個室が並ぶ棟らしい。


< 89 / 122 >

この作品をシェア

pagetop