チョコとトマト標識
とりあえずカバンを勉強机の上にほうり投げて、自分はベットに飛び込む。
あんなことがあったからって、私が一日中悩むなんて。
…ハッ、もしやこれが恋…!?
いやいやいやいやでも私見たことないよね…!? その人の事!!
私の勘違いかもしれないわけで。
幼い頃の初恋エピソードを思い出そうとするも、記憶力の乏しい私は思い出せるはずもなかった。
そもそも初恋したっけ? なんて面倒臭いところまで考えが戻ってしまって、まともな考え事にもならなかった。
そうだ、恋愛経験豊富で美人で私に全然似ていないおねえちゃんに聞いてみよう。
適当な考え事はそこで一区切りついて、
制服がしわくちゃになることもそれ以上考えられなかった私は、半分閉じかけた重たい目蓋を閉じる。
一階リビングから、ダイボリュームで聞こえるお姉ちゃんたちの笑い声が、何故だか私に安心を与えた。