チョコとトマト標識
+石蹴りとあの。
意識が飛ぶにつれ、あの感触がよみがえってくる。
大きくて、温かいあの感触。
優しく触れて、離れていくと寂しくなるんだ。
―――――…
それからおきたのは次の日のお昼頃で、『やばい!遅刻!』なんて家を走り回っていたら、お姉ちゃんから『今日休みよ』なんていわれて脱力した。
そうだ、今日学校お休み。
所謂創立記念日。
そして今日は何も用がないから、暇なんだっけ。
「陽ちゃんさ、今日暇?」
テーブルに向かって座ったお姉ちゃんは、コーヒーを片手に、可愛らしく首をかしげた。
つられて私もかしげる形になって、何故だか曖昧に、
「うん?」
と言ってみたり。
今日暇なのは本当なんだけど。
「じゃあさ、アタシとショッピングいかない? 私も今日バイトないし」
私に顔を近づけて、にっこりと笑う。
付け足して、『あんまり二人で出かけたことなかったじゃない?』なんて言うお姉ちゃんは、少し変だと思った。
でもお姉ちゃんとショッピングなんて、私が喜ばないハズがなくて、
「うん!」
なんて目を輝かせてOKを出した。