チョコとトマト標識
「お前らなんなんだよ! 何の拷問だよ!」
「うるさい! 私よくよく考えたらあんたに利用されてた! アホ重のくせに生意気!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ、喧嘩しだす私達はつくづくアホだと思った。
でもアホ重の方が子供だもん。
それからきっと私は5年後ぐらいにはセクすぃーな美女になってるんだろうなあ、とかどうでもいい妄想を膨らまし始めると、さっきより倍痛くなったマコのチョップが私とアホ重の頭に落ちてきた。
「いった…! マコいったい…!」
「つかコレもう無限ループだよな!? そろそろやめようぜ…!マジいてぇ!」
「お、おう。すまねぇアホ重」
「俺も悪かったぜ米宮…!」
とても痛い形で私達は友情を深めつつ、勝ち割れそうなほど痛い頭を押さえて同時に座り込んだ。
マコは『わかったならよろしい』とお母さんみたいなこといって、適当に近くに置いてあったイスに腰掛ける。
「…んで、何があったのよ」
組んだ長い足が、嫌に大人っぽい。
その長い足を見上げて、ぼやけた視界から私はおずおずと口を開いた。