大好きな君へ

「何か用?」


簡単には引き下がるつもりなどないためか。

思ったよりも強い力で腕を取られたことで、仕方なしに後ろを向いた。

昼休みに入り、気の合う友人たちと食堂に向かっていた俺はただでさえ空腹なのに。

相手はまるでお構いなしに自分の都合を押し付けてくる。

自分のことしか考えていない彼女のことだ。

うっかり、普段よりも平坦な声で返事をしてしまった俺の態度だって目に入ってはいない。


「いきなり別れようなんてどうして!?
しかもメールで・・・
そんなの納得できないわよ!」


ただでさえ鬱陶しいのに、大声でわめき散らすのだから、本当に嫌になる。

至近距離から叫ばれるなんて、苦痛以外のなにものでもないのだけれど。


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