純愛爆走族
「矢口君!!
お昼であります!起きるであります!!」


寝起きの頭に
『あります』が反芻する


誰かなんて見るまでもなくわかった

尼寺…


「…せーよ。
もう少し優しい声で起こせよ。
頭ががんがんする。」


むくりと起き上がると
尼寺はニコニコと弁当を広げていた


「雲雀君が大きな声で言った方が
すぐに起きると教えてくれました。」

尼寺の言葉に
恭介を睨むと
涼しい顔してコーヒー片手に参考書を広げていた


「余計なこと教えんなよ。」

「余計じゃないでしょ?
毎回起こす方の身にもなってください。
命が何個あっても足りやしない。」


吐き捨てるように言う恭介

「確かに
矢口さんの寝起きは最悪だからな。
俺なんか三回殺されかけたもん。」

健太郎はバカみたいに菓子パンをガツガツ食いながら
叫んだ

「かす飛ばすな。」

広樹が眉をひそめて飛んできたパン屑を払った
< 27 / 57 >

この作品をシェア

pagetop