守られし寵妃
「仁に言われて手を離すんじゃ、終わりだね」
「あ゛?なんだと?」
「だから、仁の威圧と殺気に押されてるようじゃダメ。もしあたしが本当にスパイだったら、手を離された瞬間あんたをのしてる」
隙が有り過ぎる。
全国1位と2位の差は大きい。
実力の差が。
確かに、このRAINは強いと思う。
だけど、あたしや仁のほんの少しの威圧と殺気に押されていてはいつまでも2位のまま。
「え、美麗さんスパイなんすか!?」
仁よ。何を勘違いしてる。
あんたを夜叉桜に入れたのはあたしだぜ!
なのに何が悲しくて全国2位のスパイをしなくちゃならねぇんだよ!
それに、あたしはもう・・総長でもなんでもない。
「違う。こいつ等があたしの事スパイだって言ったの」
「はぁ?お前らが言ったのか。許さねえ。」
仁。殺気が凄い。
これくらいの殺気は、夜叉桜関係者はすぐ出せるだろう。
だけど、RAINの奴らには耐えきれない・・・と思う。
・・・。ほらね。
龍輝以外は動けなくなってる。
「仁。抑えなさい。皆固まってる」
「あ、すみません。俺の美麗さんにスパイだなんて言いやがるから」
「・・誰が俺のなの?地獄を見たいなら逝ってらっしゃい」
そう言って仁に手を振る。
「すみませんっ!!!行ってらっしゃいの間違いですよね!?」
「さぁ?てか何しに来たの?」
「美麗さん、いないから探しに来たんですよ。で、見つけたと思ったら一ノ瀬に胸ぐら掴まれてるし。あげくのはてには、スパイって言われてるし・・・」
「ゴメン。探しに来てくれてありがと」
「いえ。美麗さんにお礼を言われる日が来るなんて・・・もう俺感動したっす!」
仁。涙が出てるよ。
そんなに、あたしに言われたことが嬉しいのか?
驚きだな!