守られし寵妃



「はい。卒業したら襲名ですから。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけどいいですか?」


「いいわよ。何?」


「理事長は、あたしの両親を知ってるんですか?」


「堅苦しいから理事長はやめてちょうだい。美麗ちゃんの母親の桜と私は親友なのよ。だからこの学園の名前もあたしと桜の名前をあわせたの。隼人さんとは夜叉桜関係よ。そう言えば美麗ちゃんが13代目なんでしょう?」


「そうなんですか。
・・・・はい。13代目です。」


「13代目血桜。伝説になってるわよ。」




黎さんは、煙草に火をつけてあたしに言う。



「伝説ってなんですか?」


「13代目血桜は、夜叉桜の歴代の中で最強だって。器のでかさも喧嘩の強さも。
血桜よりも強い人間は、後にも先にもいないだろうって」


「・・・・。」




でも、あたしは弱い。
弱いから、夜叉桜から逃げた。
あの人の事を、思い出してしまうつらい所からあたしは逃げた。



「今、夜叉桜が美麗ちゃんの事探してるわよ」



え、いまなんて言った?

夜叉桜があたしを探してる?

そんなはずない。

・・・・・・・だって私は、あそこから逃げたんだから。
・・・・・・・私は、あいつ等に何も言わずに逃げてきたんだから。



「・・・。私は、もう総長じゃありませんから。そう言えば、黎さんなんでそんなに夜叉桜に詳しいんですか?」


「・・・・・・。聞いてないの?あたしは夜叉桜8代目よ。」


「えぇぇーーーーーーーーーーー」



黎さんが、8代目。
・・・・・・・・・・・・・・・そんな事わかんなかった。



「そろそろ時間ね。」

そう言って黎さんはソファから立って
机の上に置いてあるマイクをとると


「浅田 仁。30秒以内に理事長室に来ること30、29、28、・・・・」


そいってカウントダウンを始めた。


「10 9 8 7 6「失礼します」


6秒を数えたところで肩で息をしてる男の人が来た。


「あら、結構速かったじゃない」


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