甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
     

重力に逆らうことも出来ずに、孝太の腕の中に落ちていくあたし。


ああ、もう。

結局は、意地を張ることも出来ない。


自身の腕で作った檻にあたしを閉じ込めると、孝太は意地悪な笑みを浮かべた。


「キスしてくれたら、ランチはカナが行きたいお店でいいよ」

「イヤだと言ったら?」

「このまま、俺に食べられて?」

「なっ!」


手足をバタつかせると、より一層強い力で抑え込まれてしまった。


「真っ赤になって、可愛い。何を想像したの?ね、カナ。言ってみて?」

「もう、ヤダ。離してよ」


胸を叩いて、抵抗をみせるあたしを余裕の表情で見詰めている孝太。


本当、腹立たしい。


自棄になって噛み付くようなキスをすると、孝太はあたしを抱き締めたまま、小さく笑った。




< 133 / 134 >

この作品をシェア

pagetop