甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~


ドアノブを回しかけたその時、聞こえてきたフレーズにあたしは自分の耳を疑った。

「前も言いましたけど、大好きなんです。絶対大切にしますから」

「……小林」

「俺のこと、信じてください」

「……わかったよ。でも、このことは誰にも言わないでくれよ」

「はい。秘密、ですね」


な、何これ? 孝太の告白の現場?


マズイ、取り合えず席に戻ろう。

そう思った瞬間、手が滑って持っていた木製のトレイを落としてしまった。

カランカランと豪快に乾いた音が鳴り響く。


……あぁ、何してるのあたし。


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