甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
夜風がだんだんと冷たくなってきた。
こうして三人で向かい合って、どれぐらいの時間が経っただろう。
ほんの数分が何時間のようにも感じられた。
浩二が時計に視線を落とす。時間より時計を気にしているみたいだ。
そして、ようやく気が付いた。
その時計は浩二の誕生日にあたしがプレゼントしたものだった。
「あの時、指輪を用意していたこと、知らなかっただろ?」
「え?」
あーあ、と大きく溜め息を吐いて「いいんだ、忘れてくれ」と浩二は笑顔を作った。
「最後に一つだけ。カナは今、幸せ?」
「……うん、幸せだよ」
「そっか。迷惑掛けて、悪かった」