甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
「何度も言わせるなよ、アポは何時だ?」
「よ、4時です」
「その時間だったら、一緒に行ってやる。それまでに、完璧な見積書を作っておけよ」
「でも……」
「要は納得させればいいんだろう」
「はい」
「じゃ、出てくる」
「あ、行ってらっしゃい」
原口主任はホワイトボードに予定を書き込んで颯爽と出ていった。
事務所のドアが閉まると同時に、自分の席で頭を抱えた。
……いくら資料のミスでも、見積書を作成するときに気付くべきだった。
こんなケアレスミスをするなんて。