ノンケのごとく!
そのあと体育館の後ろのほうで、Aくんと一緒にちょっとした注意を受けた漢。
席に戻る途中、もういっかい名前を聞いてみたけど「ひぃっ!」としか答えてくれなかった。ひいちゃんかショッカーって呼べばいいのかな。
教頭『…お待たせ致しました。それでは、第二部をはじめたいと思います』
教頭『首席の挨拶、和泉谷悠(いずみや ゆう)君、よろしくお願いします』
首席……あの入試をトップで通過したのか。いったいどんな男児なんだろう。
悠「はい」
語尾を伸ばさないはっきりとした返事が、この列の後ろのほうから聞こえた。どうやら同じクラスみたいだ。
悠「………」
席を立ち、ステージに向かう。まったく臆することなく進んでゆくその姿は、他の男児とは違った美しさがある。
壇上に立つと挨拶をはじめる。
悠「はじめまして。和泉谷悠です。このたびは――」
短めのストレートヘアに整った顔立ち。男児にしては少し高い声。
陽彦「………」
しばし時間を忘れて見入っていた。
悠「ありがとうございました」
パチパチパチ。気がづくと、挨拶は終わっていた。
……素晴らしい。
……素晴らしいじゃないか、阿部マリア高校。
陽彦「…グッヘ…」
陽彦「…グッヘッへ!!」
もはははは! まさか陽彦さまを一目惚れさせてしまうほどの男児と巡り会わせてくれるとはな! ウホッ!
俺さま、いやさ漢は決めたッ! ここで、まさしく薔薇色の学校生活を贈ることを!!
教頭『悠君ありがとうございました。それでは最後に――』
陽彦「ダンジ、最高ぉぉぉぉーーーーう!!!!」
……。
……。
ふたたび静まり返る体育館。
Aくん「…ひぃいい!!」
あ、仲間がいた。
このあと漢とAくんは、ちょっときつめのお説教を食らいましたとさ。