奈那子が死んだ
いまどきの女子高生ってこんなもんなのか?
弥英ちゃんに戸惑いつつも小銭を入れ、コーヒーのボタンを押す。
静かな葬儀場内に自販機の音が響き渡る。
続いて親父たちの分のお茶も買う。
「とりあえず親父たちのところ戻ろうか?」
俺がそういうと弥英ちゃんはゆっくり頷いた。
「和にぃ」
ゆっくり後ろを振り向くと俺の3歳年下の妹の由宇がいた。
由宇は就職先が決まり、最近大学の卒業式を終えたばかりだ。
由宇は俺と同じくらい奈那子さんになついていた。
ぼろぼろと涙を流していたが俺の横にいる弥英ちゃんに気が付き、涙を拭った。
「弥英ちゃん久しぶり、由宇だよ」
「由宇ちゃん、久ぶりだね」
弥英ちゃんはふっと由宇に微笑んだ。
そんな笑顔を見て由宇はまた少し泣いた。
由宇は昔からすごい泣き虫だった。