奈那子が死んだ
奈那子さんは俺の住んでいるところから2駅先に住んでいる。
手先が器用な奈那子さんは友人とともにアトリエを持ち、自分の作ったアクセサリーなどで生計を立てていた。
結婚はしていない。
17歳になる娘と2人で暮らしている。
これからその娘、基俺のいとこはどうするのだろうとぼんやり考える。
部長に電話すると2日休みをもらえることができた。
だから奈那子さんの葬儀にはきちんと最後まで出ることができる。
パジャマから喪服へと着替え、支度をし終えるとインターフォンがなる。
葬儀場を借りて葬儀をするらしいので俺は親父の車でそこに向かう。
きっと俺がきちんとした格好をしているか心配な母さんが見に来たんだろう。
「和臣、準備はできているの?」
「おはよう、母さん。できてるよ」
ドアを開けると合わない間に少しやつれた母さんがいた。
母さんは親父の代わりによく奈那子さんの様子を見に行ったりしていた。
きっと通い詰めていたりしていたのだろう。
「行きましょう。和臣にはやってもらいたいことが山ほどあるの。」
そうやって笑う母さんにいつもの元気はなかった。