奈那子が死んだ



 「和くんは好き嫌いあるの?」

 「んー、もういい年だしないよ」


 そういって笑うと弥英ちゃんは少しむっとした顔になった。

 弥英ちゃんの怒るポイントが全然わからない。


 「あー、でも昔はピーマン食べられなかったよ。匂い強いよね」


 俺がそういうと弥英ちゃんはにこっと笑ってそうだねと言ってくれた。

 弥英ちゃんが高校卒業するまでは多分俺が面倒見ることになるし、うまくやっていかないとな。


 「学校楽しい?」

 「うん。みんなにお弁当うらやましがられちゃったよ~」

 「ほんとに?うれしいな」

 「交換してって言われたよ~断ったけど!」


 そういって弥英ちゃんは思い出したようにうふふと笑った。


 「明日もがんばるよ、弥英ちゃんが自慢できるように」


 スープの湯気越しに弥英ちゃんが嬉しそうに笑ったのが見えた。



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