奈那子が死んだ
どきどきとしながら和くんの帰りをリビングで待つ。
テレビを見ているが何も頭に入ってこない。
そんなことをしているうちに、ドアの開く音がする。
「かっ、帰ってきちゃったよ~」
どきどきする胸を押さえながら玄関へと急ぐ。
和くんの大きな背中が視界に入る。
深呼吸をして、精一杯の笑顔を作る。
「和くん、おかえりなさい!」
「おー、ただい…ま…」
私の姿を見て和くんがぎょっとしている。
驚くのも無理はない。
それは私が昨日は来ていなかったはずの女の子らしいルームウェアを来ているからだ。
そんな私を見て和くんは二、三回瞬きをしたあとにこりと微笑んだ。
「まだ肌寒いんだから、あったかい恰好しなさい」
ポンポンと頭を優しくたたいて和くんはキッチンのほうへと向かっていった。
「そ、それだけ…?」