奈那子が死んだ


 「おはよう、和。」


 未来の俺、といってもいいくらい俺は親父に似ている。

 50を過ぎた親父は禿ることもなく、白髪頭になるわけでもなく、太ることもなく、芸能人のような渋いおじ様になった。

 まあきつい顔立ちであることには変わりはないが。

 ちなみに俺は親父に似ているがそこまできつい顔立ちではない。


 「今日父さんと母さんは奈那子の部屋に泊まるけど、」

 「あぁ、俺は近いし帰るよ。」


 親父が言い終わる前に俺は言った。

 なんとなく奈那子さんの部屋に泊まるのには抵抗がある。


 特に話すこともなく数十分車に揺られる。

 ぼんやりと外を見ていると車が止まった。

 車を出た母さんに続いて俺も車を降りる。

 そこには桐島奈那子様と書いてあるのでここで奈那子さんの通夜と葬儀が行われるのだろう。


 
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