奈那子が死んだ
「そんなにその"和くん"が好きなのか?」
ぽつりと泰地がつぶやく。
顔を上げると優香理も私のことをじっと見つめていた。
「うん」
ふと目を伏せると和くんの笑顔が浮かんでくる。
好き
すき
「…好き」
つぶやいた途端にぽたりと右目から一粒だけ涙がこぼれる。
そんな私を見て優香理はポンポンと私の背中をたたいた。
「だったら、することは一つしかないでしょ」
そういって微笑む優香理の笑顔は今までで一番優しかった。