奈那子が死んだ



 「それじゃあ聞かせてもらおうか」


 偉そうにふんぞり返る藤沢とその横でくすくす笑う下野がいた。

 このコンビは最悪なんじゃないかと無意識にため息がこぼれる。


 「弥英ちゃんと何があったわけ?もしかして襲…」

 「うわーっ!!」


 べしんと藤沢の口をたたくようにふさいだ。

 藤沢は何か言いたいのかずっともごもごと口を動かしている。


 「ぷはぁっ!なんだよ、図星なのかよ」

 「んなわけないだろうが!」


 バシッと藤沢の頭をたたきながら怒鳴る。


 「痛いっつーの!冗談だよ、冗談」

 「そういうこと言わないでくれる?弥英ちゃんが穢れるから」


 ぷいっとそっぽを向くとくすくすと笑う下野の声が聞こえる。



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