キモチ
始まり
普通じゃない朝
亜弥はいつも通りの朝を迎えた。
身支度を整え、キッチンに入ると母親が朝食の準備をしていた。
父親は新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。
うん、普通だ…。
「おはよう、亜弥」
「おはよう、今日は早いな」
「おはよう、お母さん、お父さん。今日はなんか目が覚めちゃって」
和やかな朝食。仲の良い両親。
そして…家族の一員である犬のコタローの姿を見つける。
「おはよう、コタロー」
(おう、あーや、おはよー)
……やっぱり聞こえる。
頬を抓って、これが夢じゃないか確認する。
(何やってんだ?)
亜弥の不可解な行動に首をかしげるコタロー。
誰がどう見ても可愛い犬。
ちなみにコタローはゴールデンレトリバーだ。
どうやら私は昨日からワンと言う鳴き声に重複してコタローの言葉が解かるようになったらしい。
いや、正確にはコタローだけではなく他の動物たちともだ。
昨日、何かあったけ…?と言うか、私って結構、肝が据わってたんだ。
と、疑問を浮かべつつもびっくりドッキリな展開に見当違いなツッコミを入れるあたり余裕があるようだ。
くしゃくしゃとコタローの頭を撫で食卓に付いた。