小鳥と恋愛小説家
それから近くの公園に着いて、なんとなく二人でベンチに座った。
休日の公園だけど、小ぢんまりとしたこの公園は普通なら多いだろう子供達もいなくて静かだった。
公園の遊具はジャングルジムに小さめの滑り台とその下の砂場だけだった。
だけど、等間隔に植えられた立派な桜の木を見て………
この公園は春のお花見シーズンなら大盛況なんじゃないかなぁ…なんて思う。
大きな桜の下のベンチで、ふと上を見上げる。
初夏の今、青々とした葉っぱを生い茂らせて日の光にキラキラ輝く生き生きとした桜の木が綺麗だった。
桜は花を咲き誇る春が一番綺麗かもしれないけど………緑に覆われて生命力に溢れているように感じる今の桜だって十分に魅力的…なんて思った。
隣を見たら、貴宮くんも眩しそうに目を細めて……キラキラしてる桜の木を見上げてた。
「……………花がなくても、綺麗だね……?」
そして貴宮くんは桜を見上げたままつぶやいた。
「………………うんっ!あたしも同じこと思ってた……!」
それがなんだか嬉しくて、ついついあたしの声はぴょんぴょん跳ねるうさぎみたいにはしゃいでしまってた。