小鳥と恋愛小説家
「落ち着いて………!!!
だってあたしだよっ!!?」
覚醒した小鳥ちゃんは…たぶん無意識だろうけど…俺の服にしがみつくようにして、何だか必死の顔でそう言った。
「うん……知ってるよ……?」
そのセリフの意味がいまいちよくわからなかったけど……君は間違いなく小鳥ちゃん……。
「………だっ、だって…そんな………貴宮くんだよっ!!?」
「うん?………俺は貴宮叶夜ですよ。」
さすがに自分の名前はわかりますよー。
「ほんとに…………あたしに言ってるの…………?」
そう……恐る恐る…まるで信じられないって感じの表情で………
「………小鳥ちゃんしかいませんが………?」
だから、揺れる瞳をじっと見つめてそう答えた。
「………っ、……後からっ!へっ返品不可…ですよ………?」
それにはクスリと笑みがこぼれた。
「そんなもったいないことしませんよ……?」
「あたしなんか……っ、た…ただの小鳥だよぉ………っ?」
くしゃりと泣きそうに歪む顔……………
「…………………………俺には誰よりも特別な………小鳥だよ……………?」
「…………っ!!」
ただの…………なんてとんでもない。
君はいつだって誰よりも、俺の…………特別な小鳥です。