小鳥と恋愛小説家





「落ち着いて………!!!

だってあたしだよっ!!?」



覚醒した小鳥ちゃんは…たぶん無意識だろうけど…俺の服にしがみつくようにして、何だか必死の顔でそう言った。



「うん……知ってるよ……?」



そのセリフの意味がいまいちよくわからなかったけど……君は間違いなく小鳥ちゃん……。



「………だっ、だって…そんな………貴宮くんだよっ!!?」



「うん?………俺は貴宮叶夜ですよ。」



さすがに自分の名前はわかりますよー。



「ほんとに…………あたしに言ってるの…………?」



そう……恐る恐る…まるで信じられないって感じの表情で………



「………小鳥ちゃんしかいませんが………?」



だから、揺れる瞳をじっと見つめてそう答えた。



「………っ、……後からっ!へっ返品不可…ですよ………?」



それにはクスリと笑みがこぼれた。



「そんなもったいないことしませんよ……?」



「あたしなんか……っ、た…ただの小鳥だよぉ………っ?」



くしゃりと泣きそうに歪む顔……………










「…………………………俺には誰よりも特別な………小鳥だよ……………?」



「…………っ!!」













ただの…………なんてとんでもない。



君はいつだって誰よりも、俺の…………特別な小鳥です。











< 129 / 344 >

この作品をシェア

pagetop