小鳥と恋愛小説家
「………っ!………い、今はそう言ってればいいわよ………!
あたしは………っ、諦めないから!!
……………っ…ぅ…!」
思わず二人で見つめ合う俺たちにツバサが怒鳴るとどこか苦しそうに胸を押さえてぎゅっと眉を寄せていた。
「…………ツバサさん………?」
怒っているにしてもどこか妙なその態度に、小鳥も心配そうに声をかける。
俯いていたツバサは一度ぎゅっと固く目を閉じると、深く深呼吸をしてまたすぐに顔を上げた。
「…………なんでもないわよ。
絶対あたしと付き合うんだから…カナヤはとっととありえない趣味をやめてよね。
天然娘はカナヤと別れる覚悟でもしてなさい?」
「…………。」
「…………ツバサさん………。」
そう冷たい目をして言い捨てると、立ち尽くす俺たちを振り返ることなく屋上を後にした。
「…………なんか、ツバサさん…変だった気がする…………。」
立ち去ったツバサが出ていった屋上の入口のドアを見つめたまま小鳥が小さくつぶやいた。
「…………。」
屋上に生暖かな嫌な風が吹いている。
そう言えば、朝見たテレビの天気予報で
…………台風が近づいていると言っていた―――――