小鳥と恋愛小説家
この日の授業はこれが最後で………
ぼんやりとしたままHRを終えるとあっという間に放課後になっていた。
クラスメート達が楽しく話しながら一人また一人と教室から出て行く…………。
俺はそれを横目に見ながら未だ席を立っていなかった。
「…………カナくん………!!」
「…………!」
聞き慣れた可愛らしい声にハッとして顔をあげると笑顔の小鳥が俺の目の前にいた……………。
「どうしたの?
カナくんぼーっとしてる?」
「………っ…………何でも………ない」
きょとんと不思議そうに瞳を瞬く小鳥にそれだけ返すのがなんだかやっとだった。
「…………帰………」
「小鳥ちゃん!」
帰ろうと言いかけた声はそんな呼びかけに飲み込まれた。
「綾瀬くん!休み時間はありがとー!
あたしタイミング悪くて………一緒に探してもらったのに結局逢えなくて………」
小鳥は申し訳なさそうにそう言うと無邪気な笑顔をカケルに向けていた。
「俺は別に~。
………放課後は会えてよかったね?」
確信犯のカケルはなんの罪悪感も感じさせない口調で小鳥に笑顔を返していた………。