小鳥と恋愛小説家
□はじめてのケンカ
【side小鳥】
『…………………先に、帰る。
……………ごめん』
そう言って………あたしを避けるように早足で行ってしまったカナくんの後ろ姿を…………
あたしはただ立ち尽くしたまま見つめていた…………。
今日はカナくんずっと変だった…………。
ずっと上の空で………なんだかぼんやりとしてて
「…………っ」
あたし
あたし…………
あんな優しいカナくんを傷つけちゃうようなことを、自分でも知らないうちにしちゃったのかもしれない……………っ。
カナくんが帰ってしまった時に一瞬だけ見えた………
苦しんでいるかのように眉を寄せた横顔があたしにそうだと確信させた……………。
「……………カナくん…………っ」
見えなくなった広い背中に…………
寂しくて
悲しくて
何をしてしまったのかもわからないやっぱりバカな自分が……………情けなくて。
浮かぶ涙を………痛いくらい乱暴に、袖で拭った。