小鳥と恋愛小説家




「……………休み?」



「そう。すごい珍しいんだけど、昨日の夜から熱出ちゃったらしくって………。」



「…………っ。」







そして、



いつまでたっても来ない小鳥は、今日まさかの欠席でした…………。



教えてくれたのは小鳥と仲のいい、仁科さんで………その仁科さんが珍しいって言ってるってことは…………………



俺のせいで熱出したんじゃないだろうか………………。



いつも元気な小鳥が熱…………。



俺はなんてことを………………。



「…………ありがと。」



つぶやくように礼を言いがっくり肩を落として立ち去ろうとして



「あっ!待って!!」



「…………?」



仁科さんに呼び止められて振り返った。



「…………これ!

今日小鳥に預かったプリントなんだけど………よかったら貴宮くんが持っていってあげてくれない?」



「…………!」



にこっと笑ってプリントを手渡され、俺はそれをしっかり受け取った。



「…………あの、ありがと………。」



「お礼なんていいよ!貴宮くんが行ってくれたほうがあたしは楽だし、小鳥も喜ぶからっ。」



仁科さんは「だからお願いね」と屈託なく笑った。



小鳥の友達はやっぱり小鳥の友達って感じで………



俺はもう一度礼を言うと預かったプリントをきつく握りしめ、この場を後にした。







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