小鳥と恋愛小説家
それからカナくんは買い物から帰ってきたママに丁寧に挨拶をして帰って行った。
あたしはドキドキしっぱなしのままでカナくんの姿が見えなくなるまで見送った。
ママがカナくんが帰った後で、『かっこよくて真面目でいい子ねぇ~!』なんて興奮ぎみに言っていた。
それにいつもみたいに一緒に盛り上がることも出来なくて、そそくさと二階の自分の部屋に入った。
――――バタン。
ドアを閉めて
ズルズル…………ぺたん………。
ドアにもたれ掛かってそのまま床に座り込んだ。
ラグも敷いてないところに座り込んで床はひんやりと冷たくて、火照ったあたしの身体をよくわからせてくれた。
震える指でそっと唇に触れた。
カナくんの唇の感触が甦る…………。
ドキドキは
最高潮で―――――
いつだって優しいとこも
意外と………ヤキモチ焼きなとこも
ぜんぶ
ぜんぶ
――――ぜんぶ、好き。
『俺だけに笑って………』
それは、無理なことだけど………あなたに向けるあたしのぜんぶは
ぜんぜん、違うの。
特別すぎる“大好き”が
――――溢れそうなくらい、詰まってるから。