小鳥と恋愛小説家
ツバサさんが胸元をぎゅっと握りしめて、真っ青な顔をしてその場に崩れ落ちるように座り込んだ。
あたしは大慌てでツバサさんの傍に駆け寄った。
「…………はぁっ!はぁっ!はぁ…っ!!」
「ツバサさん……!!!」
吐く息はひどく荒々しい。
苦しそうに歪んだ顔には脂汗がびっしりとうかんでいた。
あたしはツバサさんを抱きとめて、必死にツバサさんの名前を呼んだ。
どうしよう………!!!
どうしたらいいの…………!!?
腕の中のツバサさんを見て、あまりの顔色の悪さに背筋に冷たいものが流れた気がした。
とりあえず人を呼ばなくちゃ………!
「…………ツバサさん……あたしっ、すぐに人呼んでくるから…………っ」
チビなあたしじゃあどんな力を出しても屋上から一階の保健室までツバサさんを運べはしない……!
そっとツバサさんを横たえようとした時――――
「…………ツバサ………!!!!」
「…………!」
青い顔で走ってきたのはツバサさんの双子の弟―――綾瀬くんだった。