小鳥と恋愛小説家
――――ガラッ。
保健室の扉が開いて、綾瀬くんが出てきた。
「………!…………待っててくれたの?」
「…………うん。」
扉の横にうずくまったあたしを見つけて、綾瀬くんは驚いた顔をした。
「あの………ツバサさんは…………?」
あたしは恐る恐る聞いていた。
「うん………。もう大丈夫。
追い払っちゃったみたいになって…ごめんね?」
綾瀬くんは困ったように眉を寄せた笑顔であたしを見ていた。
それにゆるゆると頭を振った。
「ここじゃなんだから………あっちで話そうか?」
保健室の前の廊下の窓から見える校庭に備えつけられたベンチを指差す綾瀬くんに、あたしはただひとつ頷いた。