小鳥と恋愛小説家
この日ツバサは体調を崩したらしくて欠席で………俺の席近くには、大河とカケルだけがいた。
「……………。」
無言でイスを引き、自分の席に座る。
大河はそんな俺を眉間にシワを寄せた難しい顔で見ていた。
「今日この後自習だって。
ねぇ…………カナと小鳥ちゃんて別れちゃったんでしょ~?
だったら俺が小鳥ちゃん誘っても別にいい?」
「…………っ。」
なんでカケルがそんなことを知ってるのか………少し驚いた。
カケルはそんな俺の反応を面白がるような顔をして言葉を続けた。
「カナは納得出来ないよねぇ……。
………小鳥ちゃんはね、カナに自分よりツバサといて欲しくて身を退いたんだよ。」
「…………!?」
――――ガタン………ッ!!!
「ざけんなよ………!!?……てめぇ!!!」
俺よりも先に動いたのは――――大河だった。
大河はカケルの胸ぐらを掴みあげ、今にも殴りかからんばかりの形相でカケルを睨み付けていた。
教室内がにわかにざわめき出す。
カケルは大河をどこか冷めた目付きで見つめていた。
それは俺がよく知ってるはずの従兄弟の
――――知らない顔だった。