小鳥と恋愛小説家




自習の授業が終わると不満そうにぶすくれた大河を置いて、カケルと二人で校庭のベンチまで行った。



ベンチに座るなりカケルはクスリと笑うとまだ立ったままの俺を見上げた。



「…………昨日、小鳥ちゃんとここに来たよ。

二人で話をしたんだ。」



「…………!!」



小鳥の様子がおかしいのはカケルのせいだったのかと思わずぎゅっと歯を食いしばった。



「小鳥ちゃんは屋上で発作を起こして倒れたツバサを助けてくれた。」



「…………発作…倒れた………?」



初めて聞くそんな言葉をつぶやくように聞き返していた。



「知らなかったでしょ?

………ツバサは心臓病だよ。それも重い。命に関わるね。

心臓移植しかもうツバサが元気になる見込みは残ってない。

正しい病名は《拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)》って言うんだってさ。…………難病らしいよ。」



「…………!!?」



―――衝撃だった。



5年の生存確率は76%…………だけどツバサの場合は現在病状がどんどん進行している状態で、突然死だって稀ではない病気らしいと………



カケルはあまりに淡々と………まるで何かの説明書でも読んでるみたいな声で話した。



ツバサが心臓病………?



子供の頃はあんなに元気だったのに………?



心臓移植しかもう見込みがないなんて………………。



一度胸を押さえて顔を歪めたことがあった…………。



あれはこれが理由だったのか…………。







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