小鳥と恋愛小説家








小鳥は、優しい子なんだ。



俺は、誰よりもそれを知ってるんだ。












「………………わかった。」



「…………!!?」



自分から言い出したくせに…………カケルは大きく目を見開いた。



いつもダラダラしてるコイツのこんな顔を見るのはどこか愉快だった。



「…………それでツバサの気が済むなら…………《傍には》、いる…………。


ツバサはそれを――――本当に望んでるんだな…………?」



「…………っ!!


…………いいよ。傍にいれば気持ちなんかいくらだって変わるんだから………。

小鳥ちゃんのことは心配ないよ?俺が責任もって慰めるから………。」



じっとカケルの瞳を見つめる俺からカケルは逃げるように視線をそらした。



小鳥のことを持ち出しているけど、取って付けたようなセリフに明らかにカケルの動揺がわかるからか………少しの嫉妬も感じやしなかった。



頬にぽつりと水滴が落ちる。



「…………降りだしたね。先に戻るよ。」



空を見上げてカケルはつぶやくと、足早にこの場を去った。



「……………。」



俺は一人次第に強くなる雨を浴びながら暗い空を見上げた。










――――小鳥。









優しい君がそれを望むというのなら………










俺は、それに従うよ。










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