小鳥と恋愛小説家
思わずその場に座り込んだ。
開きっぱなしの窓から微かにツバサさんの声が聞こえてきた……………。
「(…………カナヤ……あたしのこと好き……?)」
「…………!!」
そんな甘えるような声に耳を塞いでしまえばいいのに…………出来なくて………。
カナくんの声が聞こえてこないことが、救いだと思った………。
痛い……
もう胸が痛い……。
どうしてカナくんにそう囁ける女の子はあたしじゃないんだろう………?
視界はゆらゆらと歪んでいく。
――――パタッと涙が冷たい床に弾けた。
「(…………ねぇ……カナヤ……………キス…して…………)」
「…………っ!!!」
渾身の力で立ち上がり力いっぱいに廊下を踏み締めて、
あたしはその場から――――逃げ出した。