小鳥と恋愛小説家
■心の在処(ありか)
「…………ねぇ……カナヤ……………キス…して…………」
「……………。」
好きかと聞かれて何も答えなかった俺に、ツバサは焦れたようにそう言ってぐっと顔を近づけた。
「……………出来ない、ツバサ……」
我ながら恐ろしく感情のない声だった。
俺は、ツバサから顔をそむけていた。
「…………っ!…………なんでよ!?」
ツバサの顔が見る間に苛立ちに険しくなった。
俺はそんなツバサから顔をそむけたままだった。
「今の気持ちでそれが出来るほど………俺は器用じゃないから…………。」
「…………っ。」
俺の答えにツバサはベンチに座り直すと、きつく唇を噛み締めた。