小鳥と恋愛小説家
ツバサの傍にいるのに
小鳥に逢いたくてたまらないんだ。
顔もまともに見ていない…………。
ちゃんと笑ってるかな………?
泣いて…………ないかな…………?
そんなことばかりが胸を占める。
一度囚われた心は
そう簡単には自分の元に戻っては来ないんだ。
「…………ツバサはほんとにこれを望むのか………?
ほんとにこんなことが………おまえの言う、《希望》になるのか………?」
俺はツバサの揺れる瞳を見つめて言った。
「…………っ!!………あたしから逃げようなんてそうはいかないから………!
あたしはカナヤを手放す気はないわ!!」
「……………ツバサ………」
叫ぶようにそう言って立ち去るツバサの後ろ姿が…………頼りなく見えた。
そんな後ろ姿を見つめながら………俺は、おまえが今幸せだなんて
――――少しも思えないんだよ…………。