小鳥と恋愛小説家
「ツバサぁ……カナが傍にいてくれてよかったね?」
「……………カケル………。あたし……」
カケルの笑顔が胸の痛みを強くした。
「ツバサが罪悪感感じる必要ないよ。ツバサにはその権利があるんだから………。
ドナーが見つかるまで、元気出していなくちゃ。
カナが傍にいてくれる。
俺もツバサが生きてくれる為なら何でもするよ。」
「…………。」
笑顔でカケルはそう言った。
そうよ…………。
あたしには権利があるもの…………。
「ありがと………カケル。」
あたしはカケルに笑顔を返す。
――――胸の痛みには気づかないふりをする。
生きていくためには必要なのよ。
そう自分に、言い聞かせて――――
カケルはちょっと行ってくると席を立って教室を出ていった。
あの子のところに行くのかも知れない。
あたしは自分の席に座って静かに本を読んでるカナヤにチラリと目を向けて、また、そらす。
元気のない横顔に…………また、胸の痛みが戻ってきた………。
「…………おい。
ちょっと話そうぜ…………。」
「…………!」